幼保連携型認定こども園
北海道文教大学附属幼稚園
副園長 松本 伸一
「 今 日 」
子育ては大切な営みだけあって苦労もはかり知れません。しかし、その中でも喜びを発見するゆとりときっかけになればうれしいです。一編の詩をお届けします。本年もどうぞよろしくお願いします。
『今日』 (伊藤比呂美 訳)
今日、わたしはお皿を洗わなかった ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが 床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい 雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら なんていわれるか ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの? とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために すごく大切なことをしていたんだって
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、わたしはちゃーんとやったわけ