幼保連携型認定こども園
北海道文教大学附属幼稚園
主幹教諭 下山真澄
新園舎での保育がスタートし、早くも10か月が経ちました。昨春は、子どもたちとの新しい出会いに期待や不安が交差していたのを思い出します。
それでも、「毎日が楽しいこども園」を目標に、今できる事は何だろうと職員一同で邁進してまいりました。スタートした生活や遊びの中で、子どもたちの魔法のような感性、それぞれの成長に心温まる場面に沢山ふれきてた日々であります。
ある日の乳児クラスで…
・朝、お家の方と離れる際に泣いてしまった子…すると、友達が側へ行き、「よしよし」と泣いている子の身体をなでる仕草、言葉は出ないながらも「大丈夫だよ」というような表情。
・「ちょうだい」とティッシュを指さし、保育者に伝えた○○君。自分で鼻を拭けるようになったのかしら…と見守っていたところ、ティッシュを持って、鼻水が出そうな友達に差し出し、どうぞ…と拭くようにうながす姿。
場面だけを見て切り取ると、ただ‟かわいい“という情緒的な目だけで見てしまいがちです。しかし、子どもはいろいろなことを思い、今ある状況をよく理解しているのではないかと気付かされます。自分がしてもらった経験や人のために何かできることはないかを考える力は大人が思っている以上に身に付いているのではないでしょうか。子どもが泣いていると、「機嫌が悪いのね」「ああ、お腹がすいたのね」「よしよし」とつい言ってしまい、子どもの背景を見逃したり、その子が発信しようとしているとは受け取れないこともあります。まだ言葉が出ない子どもからすれば「そうじゃない、ちがうんだけど…」ということもあるのだと思います。泣かないように言葉であやすことで納めようとせずに、その子のもやもやした気持ち・嫌だ!というネガティブな気持ちでさえも否定や拒否されず、その子のありのままの感情を柔らかに受け止められる体験も大事にしてあげたいですね。
ご家庭の支えもあり、こども園の子どもたちは園生活を「共によりよく生きよう」とする力が着実に育ってきていると思っております。これからも子ども一人ひとりをリスペクトしていけるようなこども園でありたいと思います。